ここボストン・ケンブリッジ界隈ではコンビニでも5×3インチのカードが売られています。これはありがたい。
学生時代から、カードはB6の京大式と5×3カードを使ってました。京大式はコンピュータに入力するようになってからあまり使わなくなったのですが、5×3のカードは、メモ帳のMoleskinのポケットに入れて、何かと使っています。学生のころはMeadのスパイラル綴を愛用、ただ、紙が厚手なのがちょっと難で、いつのまにか使わなくなり、ライフの薄手のクリームっぽい地の横罫を定番にしてました。この夏までは。
で、アメリカです。MeadやOxfordなど定番のインデックスカードに加えて、もっと薄手のがありました。カードではなくメモ用紙として売っているのですが、私の用途だと、この方が嬉しい。ついでなので使い方を紹介しておきます。
文献を読んだり、原稿を書いたりしているとき、何かメモしておきたいことが出てきます。わりと気合いをいれて文献読みをしているときは、カードも多くなります。5×3のメモ用紙なら邪魔にならないので、適当に積み上げておいて、どんどん書いていきます。何十枚にもなります。同じことを書いてしまったりもします。でもとにかくどんどん書いてしまうのです。
付箋を貼りながらざっと読んだものを読み返しながらメモを取ることもあります。書式はとくに決めてませんが、左肩にページ数、右肩に日付と文献の略号を書いて、あとは自由に引用やコメントを書くことが多いですね(左に文献略号とページ数の方が合理的?)。コメントには、感嘆符とか疑問符とか星印とかを行頭に書いて、引用と区別します。一枚だけ書誌カードを作って(これは厚手のカードを使うことが多い)、そこに略号を書いておきます。
ざーっとメモをとって、ぱらぱらめくったり並べたりします。KJ法ですね。参考文献を書きこんだものは、図書館の請求記号を入れて、書庫で使います。あれこれいじっているうちに、頭と手が動いてくれると(ここが肝心)、考えが形になりはじめます。ダメな時は無理しません。
うまく行っても行かなくても、作業に一区切り付いたところで、スキャナで読み込みます。私は富士通のScanSnapというのを愛用していて、ボストンにもポータブル版(S300M)を持ってきてあります。読み込み速度が速く、便利です。データはそのままEvernoteというソフトに入れてしまいます。
ちなみに、このEvernote、最近使い始めたのですが、読み込んだカードをぱらぱらめくって(という感じです)、タグをつけたりコメントを記入したりするのにちょうどいい。データをオンラインで保存してくれるので、自宅でも研究室でもボストンのアパートでもハーバードの図書館でも、同じデータが使えます。webのクリッピングやPDFファイルの整理にも使えます。おすすめです。
カードの話にもどると、厚手の、いかにもカードというのでなく、書き捨てできるような薄さのものが、こうした用途に向いていることに、アメリカに来て気がつきました。スキャニングを前提にしたカード取りなんて、20年前は個人レベルではちょっと考えられませんでした。しかもスキャナはわずか1.4kg。紙づまりもなく、驚異的なスピードで読み込んでくれる。当地のテレビショッピングではバーベキューグリルの焦げ落としブラシを喜んで宣伝していたりするのですが(ほんとにバーベキューが好きらしい)、そんなことに喜んでいる場合じゃないですよ!おじさん!と思わず言いたくなるくらいです。
もっとも、頭と手が動いてくれないことには、いかに道具をそろえたところでどうにもならないのは、変わりません。もちろん、そこが研究の妙味で、仕事の効率化とかいう話とはちょっと違うところなんでしょうけれども。